医療機器の保守事業を売却するとき、契約件数や年間売上だけでは引継ぎ後の採算が見えません。同じ契約単価でも、訪問回数、移動時間、無償交換の範囲によって負担が変わります。本稿では、買い手がサービスを続けるための判断材料になる保守契約台帳の作り方を整理します。
契約・機器・作業実績を同じ番号で結ぶ
最初に契約単位の管理番号を付け、対象機器の台帳、請求明細、作業報告書を対応させます。一つの契約で複数施設や機器を扱う場合は、契約の総額と機器別の作業量を区別してください。契約書が見つからない取引は、確認中であることと担当者を明記します。
- 対象施設、対象機器、台数、設置場所
- 契約期間、更新月、更新方法、解約の通知期限
- 定期点検の回数と範囲、緊急訪問の条件
- 年間契約額、請求時期、部品代や交通費の扱い
- 主担当・代替担当、外注先、対応地域
契約別の採算は実績と見積りを分ける
契約収入に対して、実際の作業時間、部品費、外注費、移動費を対応させます。時間の記録がない部分は推計と表示し、計算方法を残します。通常の定期点検と突発対応を分けると、一時的な故障費用と毎年生じる負担を混同しにくくなります。
契約額が据え置かれたまま対象台数が増えていないか、営業時間外の対応が想定より多くないかも確認します。原価を集計する期間を統一し、請求時期と作業時期のずれも説明できるようにします。
更新予定と未完了作業を引継ぎ表にする
売却予定日を基準に、更新交渉中、価格改定予定、未実施点検、修理完了待ちを一覧化します。入金済みでも今後の作業が残る契約は、残作業と必要費用を確認します。前受金があることだけで利益が確定したとは扱いません。
担当者への確認事項
- 顧客と合意した特別対応が契約書や記録に残っているか
- 交換部品の供給終了や機器更新の予定があるか
- 特定の技術者しか対応できない機器があるか
- 契約主体や株主の変更に関する条項があるか
契約の承継方法や相手方への通知・同意の要否は、契約ごとに専門家と確認します。営業担当者の記憶だけで「そのまま継続できる」と判断せず、根拠となる文書と未確認事項を分けて渡すことが大切です。
関連する準備
事業全体の売上構成は消耗品・保守契約の継続収益の整理、資料の担当者と開示順序はDD前に準備する資料一覧で確認できます。

